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かーにい!

 「えっ、お茶? 」

 足をとめて振り返った。

 「よろしければ、少しだけお相手していただけないかしら? 」

 「はあ……私でよければ……」

 「さあこちらへ! 」

 門扉が開いて招き入れられる。

 腰のあたりが幅びろになったロングドレスは、裾にかけてゆったりとしていて、石段をなめるように動く。その後ろをついて黒い重厚な玄関へと入っていった。

 玄関の正面には、右手に階段のある広間となっている。まん中にソファー一式が置かれているが、上からすっぽり白い布が被せられていている。

 その左を抜けると、急にあたりが暗くなり、じめっとしたかび臭い匂いがする。そこは廊下だ。

 廊下に置かれている調度品にも白い布が被せられている。

 青いロングドレスはすべるようにすすみ、二番目の部屋へと入っていった。

 明かりがともり、白い顔がうかびあがる。キャンドルに灯がともされたのだ。

 暖炉の上とテーブルの上の二カ所に灯がともされ、部屋がうっすらと明るくなった。

 「さあ、こちらへ」

 ロココ調のテーブルと椅子が見える。

 「少しお待ちになってね」

 と言いいおくと、青いロングドレスは暗闇の中へ吸い込まれるように消えた。

 煉瓦でできた本格的な暖炉、その上のキャンドルたてには赤い三本のキャンドルに灯がともっている。横の壁には、『美奈子十六歳』と表題に書かれた少女の肖像画が額に入れられている。壁際には同じくロココ調のチェスがあり、その上に陶器でできた花の置物が置かれている。白いレースのクロスが敷かれたテーブルの上にも、陶器の、二人の若い女性がピンクの花畑で戯れる姿をあらわした置物が置かれている。

 「なんて素敵なんでしょう! 」

 皺がよるのを恐れるように、静かに白地の椅子に腰をおろす。

 やがてドアを叩く音がして、ロングドレスが紅茶一式ののった銀色のトレイを手にもどってきた。(つづく)
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テーマ : ホラー
ジャンル : 小説・文学

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