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かーにい!

 蝋燭に映し出された白いブラウスは絹製で、全体に、同色の薔薇の花模様がはいっている。

 紅茶の容器がカタカタとなる音だけが空間に鳴り響き、オパールの指輪と金の指輪が光る白い細長い指がテーブルに蜘蛛のような影をおとしていた。

 「スコーンですのよ。ジャムをたっぷり塗って召し上がれ」

 小皿にこんがりやけたスコーンが三つのっている。

 なかなか手をだせないでいたのを見かねたのか、白い手がスコーンをひとつとって横二つに割り、われめにたっぷりと赤いジャムを塗り込んで差し出した。

 「ありがとうございます」

 「私はたくさんは食べれませんのよ。あなたはまだお若いのですもの、好きなだけお食べになって。――お茶もこちらにたくさんご用意していてよ」

 白色のキルティングにくるまれた紅茶のポットを白い手がなでた。

 「お名前は? 」

 「はい。ことねっていいます」

 「まあ、可愛らしいお名前だこと。――お近くにお住まいかしら? 」

 「……麹町です」

 「麹町ならちょっとありますわね」

 「はい。今日は母の用事で――」

 「そうですの。ごきょうだいはいらっしゃるの? 」

 「はい。弟が一人。――これがまた生意気でして――」

 「ほほほ……」

 会話はお茶や御菓子を口に運ぶのにあわせてゆっくりとすすんだ。

 「お茶のおかわりはいかが? 」

 「あっ、すいません。いただきます」

 こぽこぽと音をたて、青地に金縁のティーカップに紅茶が注がれる。

 「……あのう、こちらに住まわれて……もう、長…いん…で……」

 青いティーカップは手から離れ、テーブルの角に当たり、はねて、足下の緑のインド絨毯の上に落ち、まっぷたつに割れて、破片と紅茶の飛沫を散らした。(つづく)


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テーマ : ホラー
ジャンル : 小説・文学

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