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ムサシの桜

 なんとなく花見気分を削がれたかんの私たちは、阿蘇の父の家へもどることにする。

 とはいっても、私たちはへこんでいるわけではなく、目の前で宮本武蔵の二刀流を見られたことで、むしろ気分は高揚していた。

 帰りの車のなかで、息子はムサシの格闘のようすについて、興奮して喋りつづけたし、それに対し、わたしも少々甲高い声で相づちをうったりした。

 ムサシはというと、多少気恥ずかしそうな表情をうかべ、ときおり窓外へ眼をむけたりして終始黙していた。

 街中の喧噪をのがれ、車が父の住む町へ入っていくと、私たちの興奮も少し穏やかになり、ほのぼのとしたあたたかさにつつまれた心地になった。

 「いかがでござろう、家で花見の仕切り直しというのは? 場所は私があないいたすゆえ」

 駐車しおわった私にムサシがそう告げた。

 「肴はあるものでかまわぬではないか」

 空は真っ青で、このまま家ですごすのはもったいない気もする、それに天気予報では明日は雨らしい。

 「そうですね。やっちゃいましょうか!」

 「よっしゃー! 」

 息子が右手の拳を握った。

 持っていった花見の肴を食卓にならべ、持ちそうにないものから順に胃袋におさめて、簡単な昼食をとったあと、裏の小さな畑へいき夕食の花見ようの食材になるものがないか物色してみた。

 母が亡くなる直前までしていたこの畑は、父によって最小限手入れされていたが、父が亡くなってのちはほったらかし、自然に種がおちて育った野菜たちがどれほど残っているのか、期待してはいなかったのだが、まだ小ぶりながらもジャガイモが育っており、虫食いだらけといえどもキャベツなどもあって、どうにかなりそうだった。

 日が傾くころ、私たちはそれらで作った酒の肴をかかえて、ムサシの案内で、花見の場所へと
 むかった。(つづく)
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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