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風の丘のオカリナ

 ライフル銃を持つ女

 「おまえが友というその熊は、俺の大事な友を傷つけた。その友は片目を失った。いや、人生そのものを変えられたといっていい。俺はどうしてもその灰色熊に用がある」

 クンタは崖の上に向かって叫んだ。

 少し間をおいて、返事が返ってきた。

 「我が友であり、親愛なるベーは、むやみに人を傷つけたりしない。あなたの友はベーを狩るつもりだったのではないの?それならベーにひはない」

 「俺たちは狩人だ。狩人が獲物を狙うに罪はあるまい」

 「ベーはただの熊ではなくってよ。それに、ここはカリオの村の猟場の範囲外、それでもというのなら私が相手をするわ」

 女は立ち上がり黒い棒をカリオの方へ向けた。赤児のように白い肌、両目には黒いものをあてている。カリオの村の女も男も髪は真っ黒で、肌も日にやけて黒い。クンタははじめてみる女の姿に引きつけられた。

 「俺も友のため、引き下がるわけにはいかない」

 クンタは隠れていた崖から歩み出て言った。

 「ならばしかたない」

 女は崖の上からまた黒い棒から続けて何かを放った。

 それが足下を打ち続けるので、クンタは溶岩の道でも歩いているかのように飛び跳ねた。

 なんてこった、あの女凄い物を持ってやがる。

 クンタには手も足もでない相手だった。

 クンタはまた隠れていた崖へ逃げ込んだ。

 「分かったであろう。次は頭を狙うかもしれないことよ」

 女は崖の上から大声で笑った。
 
 くそう。

 「分かった。退散する。――最後に一つ教えてはもらえまいか。その手にしている黒い棒のようなものは何というものだ?」

 女は黒い棒を右手に持ち直して、「これか?これはライフル銃というものよ。ここからならあなたの頭が飛ぶほどの威力があるわ」と言って、ライフル銃を掲げた。

 負けを認めざるおえない。地面にあるいくつものえぐれた穴を見れば女がいうことも嘘ではなさそうだった。

 クンタは弓を背中に背負い、手を挙げて女のいる崖のしたに歩み出た。

 「このたびは諦めることにする。だが、つぎ森で出くわしたときには仕留める。とおまえの友に伝えておいてもらおう」

 「おまえはそこで何をしている?見たところ近くに他の家や村があるようには見えぬが」

 「それにはこたえられないわ。さっさと出て行くことね」

 「それもだめか、ならば名前だけでも、こちらは名乗っているのだからな」

 女はじらすように微笑んでいる。
 
 「まあ、いい。それじゃあな」

 クンタは女に手を振って踵を返した。

 少しばかり歩いた処で、背後から声がした。

 「私の名はミライ

 「さよなら、ミライ」

 クンタは後ろ向きのまま手を振った。(二章につづく)
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