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風の丘のオカリナ

 魔女

 クンタのお披露目の宴があった次の日、陽が高く昇ったのを待って、クンタは家を出た。

 長老の家を訪ねるためだった。長老は百歳を超える老齢のため、一日寝て、次の日一日起きてすごす、という生活をもう何年も前からしていた。

 長老の寝床は村の一番奥にもうけられていて、静かな場所にあった。

  クンタが訪ねていくと、長老はちょうど身支度をすませたところらしく、世話をしている孫娘が帰っていくところだった。

 「どうも、突然ですが、お会いできますか?」

 「ええ、大丈夫だと思うわ。どうぞ」

 クンタは会釈をして中へ入っていった。

 長老は鹿の皮の敷物の上に座って、目を閉じ、石のようにじっとしていた。

 「ハルヒナの息子、クンタでございます」

 長老は僅かにほうと応えた。

 クンタは崖地での出来事について長老から何か聞き出せないものだろうかと考えていたのが、どうきりだしたものか思いあぐねた。

 「――見たのだな?」

 長老の方から声をかけられ、クンタは思わずはいと答える。

 「崖地へ迷い込んだか」

 クンタは頷いた。

 「青い目の魔女に会うたか?」

 「青い目?魔女かどうか分かりませんが一人の女に会いました。目を黒いもので覆っておりましたので、目の色はわかりませんでしたが」

 「気をつけよ。カリオの戦士も犠牲になった恐ろしき女じゃ」

 「どういうことです?」

 「オルマの兄、カナーンはかの地へ迷い込み、戻ってはこない。魔女の術にかかって骨を抜かれたのじゃ。二度と会ってはならぬぞ。そなたも骨抜きにされ、カリオへ戻れなくなる」

 オルマはカリオの村長、そのオルマに兄がいたことをクンタははじめて知った。

 「カナーンは死んだのですか?」

 「見た者は誰もおらぬ」

 「崖地に棲んでいるという可能性は?」

 「わしらは何度も足を運んだが、見つけることはできなかった」

 「えっ、皆、大人はあの崖地のことを知っていたのですか?」

 「皆ではないがの」

 クンタはカリオの村がある草原と狩りに出かけた森以外の世界を知らなかったので、大人たちがそれ以外の土地へ足を踏み入れていたことは、秘密を知ってしまったような奇妙な気分にさせられた。
(つづく)

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