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風の丘のオカリナ

 喪失

 罠にかかって宙づりにされたクンタは、ミライのいる塔に向かって何度も話しかけてみたものの、返事はおろか、あの円錐形さえも動くことはなかった。

 疲れたクンタは、心地よい風の吹く木陰にいたこともあり、うとうとしだした。

 聞こえていた鳥のさえずりが遠くになり、途切れとぎれになっていくなかで、いままでとは違う音をクンタは聞き取った。

 次第に大きくなっていく音、それは足音のようだった。できるだけ音を発てないように慎重に近づいてくる。

 クンタは眠ったふりをして、その音に耳をそばだてた。

 薄目をあけて、様子をうかがうと、あのミライと名乗った女と思われる女の姿が見えた。

 茶色い髪、白い肌、そして、以前は目に黒いものをあてていたが、それは今日はなく、茶色の目をさらしていた。

 魔女の目はは青いと長老は言っていたはずだが、この女の目は茶色ではないか。ではミライは魔女ではない、のか?

 急に恐怖心が和らいでいくのをクンタは感じた。

 ミライは手にライフル銃を持っていない。しかもクンタの様子を観るためにかなり近い距離にいる。クンタはチャンスだと思った。

 突然ミライの首を網越しに羽交い締めにする。

 「ぬっ」

 不意を当たれてミライは藻掻いた。

 「いますぐ、俺をここから出せ」

 クンタはミライの耳元で言った。

 ミライは声を出せないまま抵抗したが、クンタの力に負けを感じたのか、すぐに藻掻くのをやめた。

 クンタはミライの首を後ろからつかみ直して、
 「そうだ。そのまま罠を降ろせ」
 とせまる。

 ミライは分かったと不自由な状態で頷いた。

 ミライの首を握ったまま、クンタは自分の方へ向き直らせた。

 ミライはクンタの後方を指さした。何か言いたいらしい。

 クンタはそのまま後ろを振り向いた。

 その時だった。

 クンタの右腕に痛みがはしった。

 そして握っていたクンタの腕の力が抜けていく。と同時に意識が遠のいた。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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