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風の丘のオカリナ

 逆転

 顔にうっすらと差す木漏れ日で、クンタは目が覚めた。

 鳥のさえずりも聞こえてきたが、よほど疲れたのか、ミライはまだ眠っている。

 頭がすっきりしていた。こういうときは良い考えが浮かぶものだ。

 クンタは服の胸の部分に隠しポケットをつくっていて、そこに替えの矢先を一本入れていた。矢は十分用意してきたつもりだったが、なにか不測の出来事があるともしれない、そういうときのためにいつも一本だけ持っていっていたのである。いまは矢一式、ナイフすらミライにとられている。おそらくあの塔にあるのだろう。だが、この矢先の存在まではミライにもわからなかったらしい。

 クンタは身をよじりながら口で服の襟口を引き上げ、胸ポケットをさがした。

 革袋に入った矢先をみつけると、落とさないように慎重に口で矢先を取り出す。

 その矢先を後ろでにくびられた右手に近い場所へ落とし、ロープが締まる痛みに耐えながら拾う。

 こうなればあとは時間の問題だ。

 クンタは矢先で手のロープを切り、解けたロープをいかにも縛られているかのように見せかけた。

 胸の下あたりを同じタイプのロープで木にくくりつけられ、足もおなじように両足一緒にくくられているので、あとはミライが目を覚まして、再び移動するためにこれらのロープを解くときがチャンスだった。

 朝食にと、ビスケットなるものを食わされたあと、その時がきた。

 木からはずされ、立ち上がった状態で、足のロープが解けた瞬間、クンタはしゃがみ込んでいたミライの上へ体ごとのしかかり、腰のうしろに差し込んでいたペレッタを奪った。

 ミライはあっと声をあげたが、クンタの力にどうしようもなく、あっという間に後ろに腕をねじ上げられた。

 そしてペレッタは今度はミライの背中に突きつけられた。

 ミライのペレッタを扱う様子をしっかり観察していたクンタは、撃つ前に何かを操作する(安全装置を解除)ことも心得ていた。

 ミライは観念したようで、手を挙げた。

 こういうとき両手をあげる仕草は、クンタにははじめてみる動作だった。

 「撃ち方もわかっている。今度は俺の言うことを聞いてもらう」

 「ええ、わかったわ。どうしたいの?」

 ミライは悲痛な顔をしていた。

 「戻ってもらおう。あの崖の上の塔へ」

 ミライは頷いた。(つづく)

 

 
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テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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