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風の丘のオカリナ

 
 
 ミライは回り道をしてクンタを攪乱させようとしたが、クンタには五十歩ごとの風景を記憶する訓練をしていたため、通用しなかった。

 「おまえがベーと呼んでいた灰色熊は元気か?」

 ミライは口をつぐんでいる。

 「女を殴る主義はないのだが、いつまでもそうやって何も答えないのであれば、主義をかえるべきかもしれないな?」

 ミライはクンタをきっと睨んだ。

 「――元気よ。でも、足の怪我は深く自力で立てるまで、随分時間がかかったわ」

 「あの塔にいるのか?」

 「ええ。でも、もういないかも」

 「まあ、行って確かめるかな。ところで、にかかっていた俺の記憶が、途中からなくなった訳を聞かせてほしい」

 「麻酔薬といって、眠らせ、痛みを感じなくする薬を投与したせいよ。普段は狼とかちょっと大きめの動物に使っているものだったんだけど、まあ、丁度よかったみたいね」

 「どうやって目を覚まさせた?」

 「薬の量で、目覚める大体の時間がきまっているのよ」

 「煎じ薬みたいなものか?」

 「ちょっと違うけど、まあ、そんなところね」

 「ふむ。じゃあ、チョコレートとか、ビスケットとかは何でできている?どうやって作った?」

 「それに答えるのは、ちょっと面倒だわね。きっと説明するには多くの時間を要する。塔についてから教えてあげる」

 「おまえの家族は?」

 「ずいぶんと質問攻めね」

 「いいから答えろ」

 「父と母と三人暮らし、といっても、両親は普段一緒にはいないけどね」

 「じゃあ、あの塔に独りか?」

 「ええ。でもミロヤス、それにベーも一緒、賑やかだわ」

 「その仲間は人ではないようだな」

 「ええ。アオダイショウとフクロウと、ご存知灰色熊」

 「こりゃまた、良い趣味をお持ちだ。楽しみなこった」

 「みんな私の大事な友達。傷つけないで」

 「そりゃ、向こうの出方次第だろうな」

 クンタはミライという女が孤独な娘であるとわかって、少し身近な感じがした。(三章へつづく)

 
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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