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風の丘のオカリナ

 ディナー

 台所で作られた料理は小型エレベーターで、二階の居間へ運ばれた。

 崖の上にあるのにもかかわらず、蛇口からは水が潤沢に流れ、冷蔵庫には肉や野菜がふんだんに貯蔵され、室内は灯りがつけっぱなしなっている。

 自然の中で暮らすカリオの村にはないものばかりで、クンタは見る物聞く物が新しく、ひきつけられた。

 風力による発電や、太陽光でお湯を沸かすなど、クンタには考えも及ばない装置がそこにはあった。

 二階の居間に置かれたテーブルに、乗り切らないほどの料理が並べられ、彩り鮮やかで、良い匂いに刺激されたはらがなった。

 「いただきます」

 手を合わせるミライの姿をクンタも真似る。

 肉の焼いたものから口をつけ、美味しいと感じたクンタは抵抗もなく次々と他の料理にも手を伸ばした。

 がつがつ食べるクンタの様子にミライは半ば呆れたようで、それでも楽しそうにみえた。

 「これだけの食材をどうやって手に入れたんだ?」

 「それは七日に一回やってくる両親が持ってきてくれるのよ」

 「どこから持ってくるんだ?」

 「さあ?」

 ミライは興味なさそうに言った。

 「風呂も気持ちよかったし、ゲストルームにはふわふわの布団が用意されている。何て快適な生活をしているんだ、ミライは」

 片耳は、ミライによるところによれば、伴侶を捜しに北へ向かったらしい。片耳は雌で、同じ灰色熊の雄をさがしているのだが、カリオの村のある草原や近くの森にはおらず、最近は崖地のの方へ探しにいっているらしいとのことだった。

 さがしていた片耳がいないとなれば、ミライを拘束する意味もなく、クンタはミライを自由にしてやった。ペレッタとライフル銃はクンタが持っている。ミライがクンタを襲うことはできまい。

 「ミライは人恋しいと思わないのか?こんなさびしい場所で独りくらし、俺がやってきても拒んだ」

 「――それは、あなたがカリオの村の人間だからよ。私たち家族は、カリオの村の人たちには、酷い目にあわされているから……」

 「どういうことだ?」

 「私の父の名はカナーン、カリオ出身よ」

 その名には覚えがあった。長老の話を聞きにいったとおきに、口にしていた名前だ。村長の兄で、魔女に取り込まれ、行方不明になっている男だ。

 生きていたのだ。しかも娘までいたとは。

 事情は想像していたものとは少し違うようだとクンタは思った。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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