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風の丘のオカリナ

 美女と野獣

 「ごめんなさい。あなたと話をするのはとっても楽しかったけど、両親には、カリオの村の者とは口をきいていけない、と言われているの。泊めるなんてとんでもない、ってきっと大騒ぎになる。だから、明日にはここを出ていってほしい」

 ミライはちょっと寂しそうに見えた。

 クンタはもう三日も塔にいる。その間、目にしたものは珍しいものばかりで、時の経つのも忘れていた。

 ミライの作った料理も最高だったし、気持ちの良いお風呂に、ゲストルームでの快適な眠り、こんな思いをしたのははじめてだった。

 でも、クンタの旅の目的は何だったか?

 片耳を倒してユンマの恨みをはらすこと。

 クンタは夢のような数日を過ごすうちに、そのことを忘れかけていたことに気がついた。

 二人は最後の夕食をとるためにテーブルについた。

 居間の奥に置かれたベッドの上には、青い目をしたミライの母黒い髪の父カナーン、そしてまだ七つくらいのミライが写った写真が飾られていた。

 カリオの村とは全く違う生活をしているミライたちはカリオの村の住人からすると、魔女かなにかのように見えたのだろう。家を焼いてしまうとはまた過激なことをしたものだが、これほどまでにかけ離れた生活をしている両者が理解し合うのは、難しかったのだろうと想像できた。

 「俺は片耳を追って北へ向かう」

 「どうあってもベーを――」

 「俺は狩人だ」

 「お願い。ベーを殺さないで」

 「ユンマのこともある。これだけは譲れない」

 「私たち友だちじゃない?私の大事な友だちはあなたの友でもある」

 「――ミライの気持ちは良くわかるが……」

 ミライとのひとときは楽しいものだったが、クンタの気持ちは変わらなかった。

 「わたしたち、お別れね」

 「ああ」

 二人は赤葡萄酒を飲み干し、別れの挨拶をした。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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子供のころ

子供のころ、
夢中で読んだ小説を
思い出し、すごくいい気分です。

西洋の昔を彷彿とさせる
雰囲気がつぼです。

また来ます。

Re: 子供のころ

> 子供のころ、
> 夢中で読んだ小説を
> 思い出し、すごくいい気分です。
>
> 西洋の昔を彷彿とさせる
> 雰囲気がつぼです。
>
> また来ます。


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