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風の丘のオカリナ

 守護するもの

 日暮れになると、塔の居間には、どこからともなくアオダイショウのミロが姿を現し、フクロウのヤスが窓から飛び込んでくる。

 いつもなら、ミロはミライの膝におさまり、ヤスはテーブルの上をちょこまかと動き回って、ミライとのひとときをすごしたあと、ヤスはミライのベッドのしたの布袋の中へ、ヤスはベッドのわきの止まり木の上へいといって夜を過ごすらしいのだが、クンタという珍客を得てからというもの、ミロもヤスも落ち着きがない。

 ミロは居間の床をにょろにょろと動きまわり、ヤスは部屋の壁を行ったり来たり飛び回り、ときどきこいつは何者だと言わんばかりに、黄色い大きな目でクンタを見た。

 クンタにはヤスよりもミロの方がやっかいだった。

 クンタは蛇が苦手なのだ。

 狩りの一族に生まれた手前、蛇が恐いなどとは口にできなかったクンタ少年は、どうにかして慣れようと努力したが、少しはましになったものの未だに克服できていないのだった。

 人は何か一つくらい苦手なものがあるという、蛇がクンタのそれだった。

 はじめてミロと出くわしたときも、クンタは思わず後ろへ跳びのいた。

 ミロはというと、彼もクンタを畏れたらしく、木の枝にでもなったつもりなのか、そのまま固まったようにぴくりとも動かなくなったのだった。

 ミライが眠るベッドのそばで、ミロとヤスは、見守るように休みにつく。

 片耳がいたら、ベッドの脇の床にでも寝そべるのだろうか?

 おおよそ人には懐きにくいとされているこれらの生き物たちを友と呼べるまでにしたミライといのは、神の使いか、それとも魔女なのか?

 あるいは、反対にこれらの生き物たちが、尋常ではない存在なのか?

 ミライは独りだが、ミロやヤス、ベーという友がおり、また、ライフル銃やペレッタといった強力な武器もあるせいで、いままで平和に暮らせてこれたのだろう。

 クンタが去ってしまえば、またミライは独りになるが、クンタは心配はしていない。明日の夜には両親がやってくるらしい、そしてミライには愉快な?友たちがいるからだ。

 「これは笛のようなものか?」

 クンタはゲストルームに引き上げる前に、窓辺に置かれた土製の丸っこいものを指さした。

 「ええ。オカリナっていうのよ」

 「どうやって吹くんだ?」

 ミライはオカリナを手にすると、両手に包み込むように握ってみせた。

 「音を聞きたい。何か一曲吹いてもらえるだろうか?」

 ミライは顔を赤くして、「下手だから、勘弁して。でも音だけだったら――」と一音だけ吹いてみせた。

 優しいどこか懐かしい感じのする音がした。

 「ありがとう。おやすみ」

 「ええ。おやすみなさい」

 クンタは居間を出た。(つづく)

 
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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