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風の丘のオカリナ

 疑問

 すぐにも戻って、願わくばミライを抱きしめたい、という衝動をおさえ、クンタは旅を続けた。

 崖地を抜け、濃い緑の先のとがった木々が続く中へ分け入っていく。すがすがしさは次第に感じられなくなり、むしろ肌寒いくらいだ。

 片耳はどこにいる?

 見知らぬ土地へ足を踏み入れた不安はぬぐえない。木々の間から見え隠れする白い山を、クンタは畏れの目で見た。

 俺の体の中には狩人の血が流れている。幼いころから、カリオの村の者は勇敢で賢い狩人になること、それをあこがれとし、そうなることを願って育った。

 片耳との決着をつけなければ、カリオの村には帰らないと決めていたはずだ。

 クンタは自分に言い聞かせるように、何度もそうつぶやいた。

 そうするとクンタの心は落ち着いた。

 一方で、はじめは気がつかないほどの小さな存在だった心の蟠りが、どんどん膨らんでいって、いまはどうしようもないほどにクンタの心を捉えて離さなくなっている。

 ミライの両親はどこからやってくるのか?

 七日に一度塔を訪れるという、沢山の食料を抱えて。

 あれほどの食材を集めるには、よほど大きな町でなければなるまい。食料の中には、肉や魚も含まれている。腐らせずに運ぶには近い場所でなければならない。

 しかしながら、これまでの道のりの中で、町らしき影も民家すらも発見できなかったのだ。

 崖地は広大だが、荒れ地で作物が育ちにくい。とても人が住めるような場所ではない。

 ミライの塔があるあたりは、森に近く、森は緑が豊かで、水だってあるが、それでも近くに人は住んでいないのだ。

 帰りは崖地の西の果てまで行ってみるか。

 振り返って見ても、もう崖地は見えない。

 聞こえるはずのないオカリナの音が聞こえたような気がした。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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