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風の丘のオカリナ

 混乱をしたクンタは注意が散漫になっていた。風上へ行ってしまったことに気づかなかったのだ。

 片耳に寄り添っていたもう一頭の雄の灰色熊が、クンタをみつけてしまったのだ。

 気づくのが少しばかり遅かったようだ。

 雄熊はクンタめがけて巨体を揺らせて追いかけてくる。

 思いの外早い速度に、クンタは慌てた。

 投げ捨てていた弓を拾うと、黒い森の中へと逃げ込む。

 だが、雄熊は諦めずにクンタのあとを追ってくる。

 木々の間をかき分け走り抜けるクンタの前に、大きな倒木が見えた。左右に抜ける場所はなさそうだ。

 クンタは大きくジャンプした。が、倒木の向こう側にも折れた枝があって、着地した途端、足をとられて尻餅をつく。

 雄熊はすぐ後ろにせまっていた。

 急いで立ち上がるクンタのおしりに激痛がはしった。

 熊の鼻息と威嚇する声が背中の方から聞こえた。

 クンタはよろめきながらも、なんとか体勢を起こして、走り出した。

 おしりの痛みは激しいものだったが、気にしている暇はない。

 坂道を駆け上がり、上まで上がったと思ったところで、足下が途切れた。

 急角度の下り、クンタのからだが転げ落ちていく。途中で木に何度かぶつかりながらも、速度は速くなるばかり、クンタは起き上がる有余もなく最悪の状況を想像した。

 痛みのあったおしりに更に激しい衝撃を感じ、クンタの体が地面を離れ落ちた。

 次の瞬間、クンタの前に水面が見え、次いで背中を叩きつけられた。

 川に落ちたのだとクンタは判断した。

 水の中へ沈み込み藻掻きながら浮き上がろうとするクンタ、 その間も体は流されている。

 必死に腕で水をかいて、水面に出ると、陸をさがし泳いでいく。

 痺れてゆうことをきかない体を無理に動かし、やっと岸辺の木の幹に手で掴まった。

 緩やかな流れに安堵したクンタは、水から出ると、地面に突っ伏した。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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