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風の丘のオカリナ

 誓い

 「君はミライを好きだと言った。間違いはないね?」

 カナーンに突然そんな話を持ち出されて、クンタは驚いた。それでもミライの前で自分の気持ちをはっきり伝えるべきだと思っていたクンタは、ミライの赤くなった顔を一瞥してから、「はい。私の気持ちは昨日お伝えしたとおりです」と答えた。

 カナーンはゆっくり頷いて、「ミライの気持ちも同じだ」と言った。
 
 「――お父さん」ミライが慌てたようにカナーンの腕を引いてさらに顔を赤らめた。

 「いや、大事なことだからはっきりさせて置いた方が良い。本当なら、君たちで、時間をかけて確かめ合うことだろうが、あいにく時間がなくなった」

 ミライは恥ずかしそうに頷いた。

 「君はミライとともにあの塔で生きていく覚悟はあるか?これはとても大事なことで、軽はずみに答えないでほしい。君の家族にも、カリオの村の者たちにも、二人の婚姻を祝福してもらえなかったとしてもということだ」

 それはカナーンが昨日クンタに、家族やカリオの村を捨てられるかと聞いたことと同じことなのだとクンタは思った。

 「私は、家族にも村の者にも祝福されるように努力するつもりだ。その自信もある」

 「――それでも駄目だった場合、ジュリのときのように最悪の状態になったとしたら……君に、ミライを守り通す決意はあるのか? 」

 クンタはカナーンの後ろで震えているミライを見た。愛おしい、すぐにもミライを抱きしめたいその気持ちは常にクンタの心の中にあったことだ。だからといって自分を信じて見送ってくれたハルヒナや母を捨てることなどできない。クンタは葛藤した。

 「お父さん、もう良いよ。私だって、お父さんやお母さんのこと捨てることなんてできないもの」

 ミライが泣きながらカナーンに言った。

 クンタは雄の灰色熊に襲われ瀕死の状態でミライの所へ行ったときのことを思い出した。ミライは友である片耳を倒そうとしていたクンタを引き留めた、がクンタはそれを受け入れなかったのだ。にもかかわらず瀕死のクンタを介抱してくれたのではなかったか。

 あのとき、ミライが助けてくれなければ、クンタは死んでいたはずだった。

 「私は、――私は、最大限努力して、それでも……それでも駄目だったとき、そのときはミライを守ることに専念する」

 そう言いきったクンタは、ミライの泣き出す顔をみて、心の中にあった澱がすとんと落ちた気がした。

 カナーンも目の縁を赤くして、「よく言ってくれた。ありがとう」とクンタを抱きしめた。

 「これで二人は結婚したも同然ね」ジュリがそう言ってクンタとミライの手を取って重ねさせた。

 「さて、では全て話そう。私たち家族の秘密をね」

 カナーンが目頭を右手でつまんで言った。

 「――待って、それはあたしから話したほうが、そうさせて」

 ジュリがカナーンの手を握って懇願した。

 「大丈夫か? 」

 ええと頷いてジュリがクンタの前へ歩み出た。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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