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花見おもしろ話

 花見の季節です。
 いぜん私が住んでいたところは、花見の名所の近くにあり、
色々見たりしたなかで、おもしろそうなお話をします。

 花見の宴が終わって、一夜明けるころ、
 あたり一面に塵の山が幾つも見えております。

 背広姿の男が立ち上がり、眩しそうにあたりを見回します。
 寝癖で片方の髪は立ち、ネクタイは胸のあたりまで緩んで先がよこにはねています。

 その少し先に新聞紙が幾重にも重ねられた小高い山が突然崩れだし、
下からねずみ色の作業服をきた男が顔を出します。
  
 夕べの酒がまださめやらぬこの二人の男、細めで互いの姿をみとめると、よたよたと歩み寄りました。

 向き合った二人、背広の男の方が先に声をかけました。
 「なんだ、おまえは?」
 「なんだとはなんだ」
 作業服の男
 「オレの鞄をどこにやった?」
 「おまえこそ、俺の靴を返せ」
 二人は突き出たお腹を互いにぶつけ、口を尖らせて言い合いはじめました。
 
 つっかみあいの喧嘩になりそうになったその時、
 背広姿の男が木の下に立てかけてあった自分の鞄をみつけ、拳を挙げたままそちらの方へ拾いに行きました。
 肩すかしをくらった作業服の男がそのあとをよたよたと追っていきます。
 鞄を手にした男は嬉しそうに鞄にほおずりし、作業服の男のことなど忘れてしまったかのようにその場を立ち去っていきます。
 
 「おい、こらまて」
 作業服の男が手招きして呼びますが、背広姿の男は会社に出勤するような勢いで歩いていき、姿をけしました。
 「馬鹿野郎め」
 作業服の男はその場に胡座をかいて座り込みました。
 
 やがて男は四つんばいになって歩き、一足の黒い紐靴を見つけると、随分長いことかかって靴を履き、結べない紐を長く引っ張ったまま、その男もそこから歩いて姿を消しました。(おしまい)


 
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