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風の丘のオカリナ

 トウキョウ

 「逃げ場を失った私は、時を超える穴に逃げ込むしかなかった。真っ暗ななか、着いた場所は、東京駅の丸の内側、中央口の前の植え込みだった。何度か行ってみたことはあって知っていたけれど、人通りも多く人目ににつきやすいということもあって、こちら側の世界へは行かないようにしていたの。だから着いてからが大変だった。どちらへ行ったものか、途方にくれて、ただそそこに佇んでいたわ」

 「俺は、気がついたときは病院だったから、穴をくぐったときのことは覚えてないんだ。――そうか、トウキョウエキというところの傍に穴の出入り口があるんだな」

 「空が白んで夜が明けようとするころ、カナーンが穴をくぐって私をみつけてくれたので、私も何とか正気に戻って、これからどうしようかと二人で相談することができたの。向こうへは戻らない方がいいだろうから、こちらの世界でやっていくしかないってことになって、でも、どうやって生活していったらいいのかわからなくって、結局ただ見知らぬ街を歩き続けただけだったんだけどね。だって私たち、この世界では、戸籍もなければ、住む家もないわけで、どうやって仕事を探したらいいのかさえわからなかった状態だったんですもの、そうするしかなかったのよ」

 クンタは黒い森にはじめて入ったときの、暗くて、右も左も分からず不安な気持ちになったときのことを思いだした。

 「空腹で行き倒れて良い人に助けられたり、悪い人に騙されて全財産持っていかれたこともあったわね。私はビルの清掃のアルバイトをみつけ、カナーンはラーメンの師匠に出合って、弟子入りがかない、やっと私たちの生活も軌道にのるようになったわ。そして、ミライが生まれた。それからも大変だったけれど、色々な人に助けられて、なんとかこうしてやってこられた。私たちとってもラッキーだったのかもしれない」

 ジュリの試練は一人の女性として考えたときに、過酷すぎると思えたが、この楽天的な性格が、救いとなってこれまでやってこれたのかもしれないとクンタは思った。

 「でも、とうとう監視員にみつけられてしまったの。私は受刑者だったことを思い出さざるおえなかったわ」(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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