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風の丘のオカリナ

 五章

 父との約束

 ……タ、……ンタ、……クンタ、クンタ、クンタ、クンタ……。

 遠くで呼ぶ声がしたような気がして、クンタは目を覚ましたが、まわりには誰もいなかった。

 何の音かする。

 ――蝉の泣き声

 森の方から聞こえているのか。蝉が啼きだしたのだった。

 「蝉のなくころには帰って来るように――

 父ハルヒナは、片耳を倒すというクンタを、期限つきで送り出したのだった。

 クンタはそれを思いだし、愕然とした。

 あまりに色々なことがありすぎて、月日が経つのも忘れていたようだ。

 カリオに戻らなければ、クンタは死んだと思われるだろうか。

 クンタは起き出して、台所へいった。

 ミライは朝ご飯を用意していた。

 「今日も、森へいくの?」

 クンタは森へ猟にいく生活をしていた。従来そうなるべき生活に戻ったのだった。

 「いや――」

 ミライはちょっと嬉しそうな顔をして、じゃあ、今日は外で昼ご飯にしましょうか」

 「――いや、カリオに行ってこようと思う」

 ミライの顔色が青ざめた。

 「ハルヒナに蝉の啼くころには戻る約束をしている。帰らなければ心配するだろう」

 「……そうね」

 ミライは恐れていたときがきたように声を沈ませた。

 「心配するな。必ず帰るさ。ジュリが魔女なんかじゃないって話もしてくるつもりだから。きっと分かってもらえる。そうなったら、こことカリオの村の間に、森のどこかに、俺たちの家を建てよう」

 ミライは心配そうに頷いた。

 クンタはミライの作ってくれたお弁当を持って塔を出た。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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