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風の丘のオカリナ

 

 ハルヒナクンタ長老の家を訪ねたとき、長老は臥せっていた。最近は体の調子が思わしくなく、こうして臥せっていることが多くなったらしい。

 二人がきたことを知った長老は、すぐに村長のオルマを呼びにやらせ、彼がくるまで外で待っていてくれるよう、たのんだのだった。

 オルマがきて中へ入り、しばらくしたころに、二人は呼ばれた。

 長老が臥せっている横に立ってオルマが、二人を迎えいれた。村を出る前に会ったときよりは、長老が小さくなったように、クンタには見えた。

 「おやすみのところを申し訳ない」と言ってハルヒナが案内された座に座ると、長老は「心遣い無用、わしも、そろそろ精霊の元へ召される日が近くなった、ということにすぎぬ」としわがれた声で言った。

 「いえ、お顔の色はよろしゅうございます。まだ、精霊様もお呼びではございますまい」

 ハルヒナが慰めの言葉を告げると、苦笑いして長老はどれどれと体を起こした。

 「我が息子、クンタが、灰色熊を倒し、昨日、帰還いたしました」

 「おう、おう、聞いておるぞ。そうか、奴を倒したか。でかした」

 「森向こうへと足を踏み入れ、崖地を抜け、さらに黒い森、白き山まで行き及んだとのこと、それにつきまして、息子から申し上げたき話あり、どうかお聞き願いたい。

 「申してみよ」

 クンタは村を出てからの帰ってくるまでの話を、できるだけ簡単に、だがカナーンやジュリ、ミライのことについては詳しく説明した。

 「ジュリは魔女などではございません。我々と同じ人間です。どうか、以前のように、彼女を家ごと燃すなどという過激なことは、考えられないように願いたいのです」

 「そうか、カナーンは元気で暮らしておったか。それはよかったのう」

 横のオルマへ目を向けて、頷いた。オルマは微かに頭を垂れた。

 「だが、青い目の魔女、かのものはまやかしの術をつかい、人心をたぶらかし操った罪で追放になったと聞き及んでおる。クンタ、おまえはそのことを知っておったか?」

 「まやかし……たぶらかす……まさか、そのようなこと――」

 クンタは思いもよらないことを告げられて、しどろもどろになった。

 「誰がそのようなことを……」

 「魔女を監視する者がそう申したのじゃ」

 クンタはすばるの入り口でカナーンたちと話をしていた二人の男女を思い出した。あの二人は監視員だとジュリは言っていた。あの者たちか、その仲間がそう言ったのだろうか。

 「――それに、かのものの家を焼いたのはわしらではないぞ。わしらが行ったときにはすでに塔は燃えておった」

 「まことでございますか?」

 「嘘は申さん。我々は燃えるさまを見て、声をあげ、安堵したのは間違いないがの」

 「では誰が火を――」

 「それはわしにも分からぬ。だが、監視員の申すようなおなごならば、自ら火を被り、カナーンをたぶらかすことなど造作もないことだったじゃろうに」

 「まさか、ジュリがそのような恐ろしきことを――」

 クンタは頭が混乱して、何も喋れなくなった。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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