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風の丘のオカリナ

 集縁

 翌朝、まじない婆の家を訪れると、薬はできていて、二つの瓶に収められていた。

 「一瓶で二人分、全部で四人分じゃ」

 「本当に効くのか? 何か入れ忘れたとかいうのはないんだろうな? 」

 クンタは不安になって訊いた。

 「あたしゃ天才じゃ。ぬかりはない。心配ならおまえが飲んでみれば良いことじゃ」

 クンタは瓶を持ち上げて、中の紫色の液体を見た。相手は高度な文化を持ったものたち、失敗すればどんな危ういことになるかもしれない。クンタは思い切って、瓶の蓋を抜き、中の液体を一機に口に注ぎ込んだ。

 途中でハルヒナが「それぐらいでいいだろう」と手を止めたので、クンタは咳き込んで瓶を降ろした。

 何の反応もない。クンタは婆を睨んだ。

 婆は「すぐには効かん。少し待て」と言ってクンタを椅子に座らせた。

 暫くして、クンタが「まがいのまじないしめ。効かないではないか。何が天才だ」と毒づいた。

 慌ててハルヒナが「おい、口が過ぎるぞ」と止めに入る。

 「はは、効いてきたようじゃ」と婆が笑った。

 それからのクンタは婆の悪口からはじまって、俺は駄目な人間だと落ち込んだり、ミライに言った恥ずかしい言葉のあれこれまでしゃべりまくったのだった。止めようとしても止まらない。口が勝手に動くのだ。こんなことがなければ二度と経験したくないとクンタは思った。

 立て板に水といった状態のクンタだったが、ようやくその喋りが落ち着いたところで、ハルヒナが婆に非礼を詫びて家へ連れ帰った。

 家には来客があった。村長のオルマだった。

 「今日、旅立つそうじゃな。この件については、過去にカリオも係わったこと、クンタ一人に任せて放っておくわけにはいかぬ。それに私の兄のことでもある」

 「――しかし、村長さまはカリオにとって必要不可欠なお方、村を離れることはまずくはありますまいか」

 ハルヒナが心配して尋ねると、オルマは「長としての仕事は息子に任せた。あれも、もう一人前の大人じゃ。心配あるまい」とさして心配していないようすだった。

 「しかしオルマさまにとって、長旅は負担がありましょう」

 「ふむ。そこで、従者を一人連れてまいる。サハトという名で、剣もたつ、良き力となろう。さらに駿馬も用意できるでな」

 人手は多い方がいい。希少な馬は村の宝でもある、それを貸してくれるというのだから、悪い話ではなかった。

 ハルヒナは「分かりました。同行、こちらからもお願いいたします」と受け入れた。

 「では、出立の準備ができ次第、連絡する。家で待っておられよ」とオルマはハルヒナの肩に手をおいた。

 「わかりました。よろしくお願いいたします」

 頷いて、オルマは部屋を出ていった。(つづく)
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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