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風の丘のオカリナ

 立て板に梨酒

 クンタが指折り数えて、「十一人だ」と答えるまで随分時間がかかった。

 七号は、その間梨酒のケーキを二個平らげた。ミライの作る料理はどれも美味い。とりわけこのケーキは逸品だ。ミライは、塔でのひとり暮らしを紛らすために、よく料理をしたのだそうで、持って生まれたセンスのよさがそれで開花したのだろう。それが、今回の作戦を立てる上で、役に立ったようだ。一番心配したのは、監視員たちがケーキが嫌いで食べてくれなかった場合だった。が、その心配は消え失せた。

 「ヨモナにもケーキを食べさせたい。彼女は甘いものが好きなんだ。持っていっても良いだろうか? 」

 ヨモナというのはどうやら十九号の本名らしい。

 どうぞとクンタが答えると、七号は「我が愛しのヨモナちゃん、ケーキだよ」と言って慌てて口を塞いだが、手のしたで口はもごもごと動き、あまりの恥ずかしさに逃げるように、皿を抱えたまま出て行った。

 しばらくして、七号と十九号がミライとともに居間に戻ってきた。ミライがクンタに目配せをした。それは十九号もケーキを食べたという合図だった。

 この梨酒のたっぷり染みこんだケーキには梨酒に例の人を多弁にする薬が混ぜられている。青みのある薬の色がスポンジケーキを染めてしまうので、クンタが食べる薬の入っていないケーキには、茄子からとった色素で色づけしておいたのだった。

 七号、そして時間差で十九号も、その薬を飲んでくれた。そうなればクンタたちの思うがままだ。

 「私とヨモナは恋人どおしなんだ。良いだろう。すごい美人だからな」
 
 「――七号」十九号が慌てて七号の口を塞いだ。十九号はまだ薬が効いていないようだった。

 突然居間にどやどやと入って来る者たちがいた。隣の崖の上で塔を見張っていたオルマサハトだ。彼らは監視員たちの乗ったタイムマシンが塔の前に出現したのを確認したあと、気づかれないように、急いで塔へと移動し、監視員の入ったあと、居間の前でその時がくるのを待っていたのだった。

 サハトは身のこなしが早く、あっという間に七号を後ろから羽交い締めにした。そこへあらかじめテーブルクロスのしたに忍ばせておいたロープをクンタが取り出し七号を縛り上げる。

 その間、オルマが十九号を押さえつけ、ミライがクンタに投げてもらったもう一本のロープで縛る。ミライは女でありながらロープを縛るのが上手だったがためにこの任を任されたのだった。

 そこへ、ハルヒナが様子を見に居間へ入ってきた。

 「うまくいったようだな」

 安心した様子でハルヒナはわらった。

 ハルヒナも加わって、皆で二人を椅子に座らせてくくりつける。七号も十九号も抵抗して叫び声を上げた。

 「いったい、何者だ? 手を離せ」七号は椅子をがたがた揺らせた。(つづく)

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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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