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風の丘のオカリナ

 十五分

 これだけは言ってはならないと思ったのか、七号の顔がさらに歪んだ。

 「我々の時代が崩壊したのは、我が政府のやり方が間違っていたからだ。ハイレベルなコンピュータによってなりたっている我々の時代は、ある一人の、天才ハッカーであり、暗黒の心を持った青年によって壊滅されるのだ。そして、犯人はタイムマシンを使って別の時代へと逃げる。追跡可能な痕跡は何も残さず、きれいさっぱり消え失せる。途方もない過去・未来の時間を前にして、我々は愕然とし、わずか十五分での敗北を痛感するのだ。それが、我々世界の未来であり、終焉だ」

 クンタはシブヤで目にしたコンピュータを思い出した。あの小さな石版のようなものが、彼らの世界を壊滅させたのかとおどろき、文明の持つ脅威の一面を知ったのだった。

 「未来は変えられる。と私たちは思っている。犯人の青年はいまどこかで普通に? 生活しているのだ。我々は終焉の数十分前からの状態を何度も繰り返し検証しているにもかかわらず、犯人の名前すらつかめていない。ときはせまっているというのに

 「どんな終焉なのだ? 」

 終焉といわれても、クンタにはもうひとつピンとこなかった。僻地の村ですごすクンタたちには、村の中でのいざこざぐらいしか経験がなかったからだった。

 「我々の国は百八の国からなっていたが、そのうち多量破壊機を持った国が二十カ国ほどあるとされていた。その多量破壊機が全て作動したのだ。街や村は勿論、山も川も破壊され、人類は僅かの人間を残して死滅するのだ」

 「そんな恐ろしいことが……」

 クンタは言葉を失った。

 「この崖だらけの場所も、切り立った崖、荒れた土地、破壊の凄まじさを残している」

 広大な崖地、そこにそんな秘密があったとは、クンタには思いもしなかったことだった。

 「だが、僅かな草花が種を残し、次の季節には芽を出し、やがて森をつくり、この崖地へも広がってきている。――星にとって、我々のいる時代などほんの一瞬でしかないのかもしれない。そして、あれほど繁栄した文化も土の下に埋もれて知る人もなくなるのだ」

 極秘の話ゆえに顔をゆがめた七号だったが、ここまで話してしまうと、開き直ってしまったのか、かえってせいせいした表情で話を続けた。

 「どうにかできないのか? 」

 クンタは苛立ちを感じた。(つづく)


  

 
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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