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風の丘のオカリナ

 探知 

 ジュリと声をかけたが、彼女は玄関のドアを開け飛びだしていってしまった。

 クンタはドアの裏に身を忍ばせ、少しだけドアを開いて、外を見た。

 ジュリは手を挙げ、男たちの方へゆっくりと歩いていた。

 「私が全責任を負います。だから、あの人たちには手を出さないで」ジュリの声が震えている。

 十九号の話からすると、ジュリが投降したところで、塔のにいるものは全員消されることになるだろう。自分たちの作戦は失敗に終わったとクンタは思った。だが、このまま諦めるわけにはいかない。どうにかして、ジュリをこちらへ救い戻し、塔のものたちを助ける手段を考えねばならない。

 クンタは皆のいる居間へ戻った。

 「おい、命助かりたくば、奴らの情報を教えるんだな。奴らはおまえを見捨てた。俺たちの側についたほうが賢明だと思うがな」

 サハトに押さえ込まれ、這いつくばっている七号の耳元で、クンタが言った。

 七号は少し考えて、よかろうと承知した。

 「この塔にいる生物は、赤外線センサーで探知されているはずだ。どこに何人いるか奴らはすでに知られている。――だがこの塔は幸いに崖の上に立っていて、地下へ通じている。ここの地盤は分厚い。さすがにそこまではセンサーは届かない」

 「――そうか、か」

 「しかし、穴の向こう側の東京駅にはすでに奴らの手が伸びているだろうから、行くのは危険だ。だが、穴を開閉するリモコンは、こちら側がロックをはずさないかぎり、開くことができない。カナーン、こっちへ来るとき、ロックをしておいたか? 」

 ミライに、肩の傷に包帯を巻いて貰っていたカナーンが、ロックをしたと答えた。

 「向こう側から侵入されることはないだろう。地下へ続く階段へ身を忍ばせれば、我々の姿は奴らにも探知できない」

 「しかし、それでは身動きがとれないだけだろう」

 「確かにこのままではな。私と十九号は、赤外線センサーを通さない特殊な制服を着用している」

 「そうか、我々のうち二人がその服を着用すれば、奴らに見つからずに塔の中を移動できるといことだな」

 「情報はそれまでだ。どうすれば良いかはおまえが考えろ」

 七号は投げやりに言った。いまさら足掻いたところで、助からないと思っているのかもしれない。

 「十九号の服はミライにしか入らないだろう。ミライ、着てもらえるか? 」

 「勿論、私の母や父のことで、迷惑をかけているんですもの。こんなことになって、皆さんには本当に申し訳ないと思っています」

 「悪いのはミライじゃない。謝る必要はない。さあ、行こう」

 クンタとミライは、それぞれ七号と十九号をつれて、地下室へと向かった。(つづく)

 
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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