スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

風の丘のオカリナ

 逃避行

 今ごろ、ミライたちは、七号十九号を二つ先の崖の陰にある松の木に縛り付け、塔を取り囲んでいる奴らの目につかないよう、まわり込んで森へと向かっていることだろう。手負いのカナーンには辛い逃避行だろう、だが相手の数からして自分たちに勝ち目はない。ここはひとまず逃げるしかないのだ。

 「さっきのおかえしをさせてもらうぜ」

 大柄の男は、白い下着姿のまま、怒りに燃えた目をクンタに向けた。

 塔に放たれた火は樟に燃えうつり、塔の正面側との壁となってる。それが幸いしている。奴らはまだクンタたちが脱出したことも、いま塔の裏側でこの男と対峙していることも知らないのだった。

 「そうはさせない」

 クンタはライフル銃を男に向けたまま言った。

 気絶させられたもう一人のひげ面の男、彼はしんがりで降りてきたサハトからライフル銃を奪い、サハトにその銃口を向けている。

 緊張した空気があたりにたちこめている。

 制服を剥がしたときに、指輪銃なども取り外して、武器は所持していないはずだが、彼らの装備を熟知しているわけではない。まだどこかに武器を隠し持っている可能性もあり、へたに動けない。

 クンタは銃をかまえたまま、じりじりと後ろにあとずさった。

 火の熱か、銃口を目の前にしている緊張感からか、サハトの顔に汗粒が噴いているのが見える。

 「まるごしでは戦えまい」

 クンタは緊張を押し殺して無理に笑った。

 「わたしを撃てば、後ろの男が死ぬ。それに私はおまえになどには撃たれぬ」

 それが大柄の男のはったりなのか、何か目算あってのことなのかはかりかねたが、クンタも負けてはいなかった。

 「銃はかなり練習して、腕もあがっている。ここからなら、一発でおまえの心臓を撃ち抜ける。撃ってみせようか? 」

 その挑発の言葉に後ろでかまえていた男が反応した。目をクンタに向けた一瞬の隙に、サハトが風のように跳躍した。

 銃の発砲音のあと、どさっと倒れる音がして、男は仰向けに倒れたまま、馬乗りになったサハトに銃を奪われ、首にナイフを突きつけられていた。その素早さはオルマが自慢するだけあって、見事なものだった。

 だが、いまの発砲音で、火の向こうの者たちが騒ぎだした。もたもたはしていられない。

 クンタは大柄の男に近づき、後頭部をライフルで殴って再び気絶させ、もう一人の髭男も同様に気絶させ、二人を並べて地面に放置し、崖から垂らしたロープにとび移った。

 クンタもサハトも、崖を足で大きくはねながら下りていく。崖の上に銀色の制服姿の男たちの姿が見えてからは左右に体を移動させて、指輪銃をかわす。

 彼らの追跡をかわしながらクンタとサハトは崖地の北の方へ向かって逃げた。(つづく)

 
スポンサーサイト

テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

きなこ

Author:きなこ
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。