スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

風の丘のオカリナ

 満天の星

 皮肉なことだが、クンタたちの心とは裏腹に、空にはこぼれ落ちそうなほどたくさんの星がまたたき、見下ろしていた。

 塔の隣の崖に、焼け残ったぼろぎれを敷いて、クンタとミライハルヒナフイタオルマの五人で雑魚寝をする。

 疲れているのに目がさえて、眠れない。ジュリカナーンがいなくなったことで、皆は落胆しているのだ。

 崖を下りたあと、ミライたちは、七号と十九号を二つ隣の崖の陰に縛りつけ、崖地を回り込んで森へ入るつもりだった。ところが、途中でカナーンが消えていることに気づいて、それは変更せざるおえなくなったのだった。
 
 ジュリを助けるために戻ったにちがいないと判断した四人は、カナーンを捜索することにした。

 三人が崖へたどり着いたとき、ちょうど、クンタとサハトの追撃に数台のタイムマシンと監視員数十人が出払っていて、塔は手薄になっていた。好機ととらえたのだろう、カナーンは奴らと銃撃戦をくりひろげていた。

 ミライとフイタがカナーンを援護にまわり、なんとかジュリを助け出すことに成功したが、ジュリは一緒に逃げようとはしなかった。近くにとまっていたタイムマシンに乗り込み、時間旅行をしようとしたのだった。

 ジュリは違法としりつつ未来への時間旅行を試み、タイムマシンの事故で事件が発覚、拘束された西暦2947年に戻って、未来がどんな世界であるかを、みんなに伝えたいと言ったのだそうだ。

 政府が隠し続ける終焉、それを引き起こした謎の人物、全てをネットランドを通して世界に発信する。拘束されているはずの自分が、それをリアルタイムでネットに流すことで、未来からきた自分、二人のジュリの存在をアピールすることになる。発信する内容が真実みを帯びることになる。そうすることが自分にかせられた任務であり、もっと早くにそうすべきだったと告げた。

 それはまさに死を覚悟した行為であったが、ジュリの意志は堅く、行くべきではない、行かないでというカナーンやミライの言葉にも応えなかったという。

 カナーンは隙をみてジュリのタイムマシンに乗り込み、ならば一緒にいくと強く主張した。頑として動かぬカナーンに根負けしたジュリはカナーンを乗せたまま2947年への時間旅行を決行したのだった。

 タイムマシンが消えたと同時に、クンタやサハトを追っていった連中が戻ってきたために、ハルヒナとフイタとオルマはその場で泣きじゃくるミライを引きずるようにして隣の崖へと身を隠した。

 奴らは七号と十九号を連行し、タイムマシンで消えた。タイムマシン一台残さず、きれいさっぱり消えたことで、ミライはジュリたちを追いかけることもできなくなったわけだ。

 ハルヒナやフイタ、オルマも眠れないようだが、ミライを刺激しないように心を砕いているのだろう、静かにしている。

 横にいるミライはクンタに背中を向けて寝ている。ミライが寝ていないのは分かっている。彼女は彼女で必死に現実を受け入れようと努力しているのだ。

 夜空にまたたく星神、どうか、ジュリの願いを叶え、再びこの地に二人が戻ってこれるように、

 とクンタは願った。(つづく)
スポンサーサイト

テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

きなこ

Author:きなこ
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。