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かーにい!

 暑いですね。夏です。ホラーです。


 「あれ、ことねちゃん? 」
 
 振り向くと、そこに日焼けした背の高い青年が笑顔を向けていた。

 「……かーにい? 」

 「そうそう。かーにい。うんと、そっちの男のこは――彼氏かな? 」

 「彼氏? やだ、忘れた? 、弟の――」

 「ああ、あのひょろっとしてた、いや、失礼。――成長したなあ、お姉ちゃんより頭一つ大きいじゃないか」

 「うふふ、でも中味はまだおこちゃまなの」

 「なんだよ。姉ちゃんだってまだ子供じゃないか。高校生にもなってまだ、彼氏とかいないし――」

 「うるさいわね。私は簡単に妥協しないだけなんだから」

 翔の額を軽く指ではじく。

 「いてっ、なにすんだよ」

 「まあまあ、その辺にして」

 かあーにいの仲裁が入って、翔はちょっと不満げな表情をしたが、「ねえ、Y大に行ってるんでしょ?」

 と聞いたので、そっちの方へ興味がいってしまったらしい。

 「ああ。夏休みだからね、帰省したところさ」

 「ねえ、ねえ、大学生ってどう? 彼女とかできた? 」

 かーにいは笑って、「さあね。秘密」と目を上へ向けた。

 「うわーいるんだ」

 と翔がはやし立てる。

 私は内心がっかりしながら、東京の大学に行ってどこか垢抜けしたかーにいが眩しく感じられた。

 「ところで、君たち、ここで何してるの? 」

 「ああ、お母さんに頼まれて、届け物をした帰りなんだけど、久しぶりに弟とこの辺にきたんで、ぶらぶら歩いていたところなの。ほら、ここ、とっても立派なお屋敷なんですもの。赤い屋根に、白い壁の家。あこがれるなあ、なんて言ってたしだいです」

 大人びた言い方をしたので、翔もかーにいも笑った。

 「そうか。この屋敷、いま、誰か住んでいるのかな? 」

 かーにいは懐かしそうに目を細めてきれいに草の刈られた庭を見やった。

 「知らない。でも私はここの人見たことない」

 「僕も」

 「ここの家の話知ってる? 」

 「ううん!」
 
 姉弟は同時にかぶりを振った。

 「知りたい? 」

 姉弟は今度は同時に頷いた。

 かーにいはもったいつけたように微笑んだ。

 私はこの引き込まれるようなかーにいの笑顔に弱いのだった。(つづく)

 

 
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テーマ : ホラー
ジャンル : 小説・文学

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