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かーにい!

 「この屋敷にはね、少女とそのお祖母さんが住んでいたんだ。少女のお父さんが外交官であった関係で、その子も外国で生活することが多かったんだが、七歳の時に事故にあって右の膝から下を失ってしまったんだ」

 「えー、可哀想」

 「うん。それで、元もとあまり体も強くなかったこともあって、父方の祖父母に預けられることになったんだ」

 「両親とは離ればなれになっちゃったんだ」

 「その引き取られた家がここ。外国暮らしの経験もあったという祖父母も、この辺じゃちょっと珍しい西洋風のくらしをしていたんだ」

 「だからこんなにすてきなのね」

 「ところが、少女が引き取られて一年もしないうちに、お祖父さんが亡くなってしまって、少女とお祖母さんの二人になってしまったんだ」

 「足の悪い少女とお祖母さんの二人じゃ大変だったでしょうね」

 「まあ、生活には困っていなかったらしいから、お手伝いさんとかもいたんでね。お祖母さんも孫のこの少女をとても可愛がったし、屋敷で飼っていた秋田犬の、……たしか小鉄って名前だったっけ、その犬を少女は友だちのように大事にして、またその犬もよく懐いていたので、そんなに寂しくはなかったかもしれないね」

 「でも、なんで秋田犬なんだろう。このお屋敷には不釣り合いな感じがするけど」

 「外国のご両親が、女二人では物騒だからと、用心棒がわりに買ってくれたらしいんだ」

 「へー、そうか、秋田犬っておっきいものね」

 「この屋敷には、その少女とお祖母さんと、数人のお手伝いさん、そして小鉄が住んでいた。御用聞き以外、この家を訪ねる者はなく、ご近所との付き合いもほとんどなかったらしい。唯一、近所の少年が時々お茶に呼ばれたくらいかな」

 「お茶? そいつなんでお茶なんか飲みにいったんだろう。僕、お茶は遠慮したいけどな」

 翔は過去にいたい経験でもあるのか、渋い顔をした。

 「ははは……、お茶はお茶でも、イギリスなどの西洋で飲まれた紅茶のことで、この屋敷ではお茶菓子にケーキなんかも出たんだよ」

 「そりゃ、僕も呼ばれたい」

 「そうだな。それで、少女が十七歳になった年、持病の心臓がもとで、少女は亡くなってしまったんだ」

 「えー、ほんとうに? 」

 「ああ」

 「こんなすてきな屋敷に住んでいるのに、なんだかあまり幸せではなかったのね」

 目を潤ませてかーにいを見たので、かーにいは少し顔を赤らめた。(つづく)

 
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テーマ : ホラー
ジャンル : 小説・文学

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